あるIT企業の経営者の奥様から浮気調査の依頼を受けて日常の行動をチェックすることに。
経営者ということで夕方決まった時間に退社するとは限らないので朝から張り込み、尾行調査を実施する。
確かに午前中には経営する勤務先に行き、それなりに仕事はしているようではある。
奥様によると浮気を疑うようになったのは接待と称して深夜や朝方の帰宅が多くなったことや洋服やアンダーシャツにファンデーションが付いていたことがあったということである。
またお金使いが粗くなり、奥様に対する接し方にも以前とは異なり、喜怒哀楽が激しくなってきたと性格面での変化も訴えていた。
この様なことから女性の存在を疑ったようで当探偵事務所・赤坂アーガス東京に依頼されてきたのである。
午後4時過ぎに勤務先から出た対象者は繁華街にあるシティーホテルのロビーに行き、男性2人と待ち合わせ、商談的な打ち合わせをしている。
その後、ホテルのバーに席を移動しお酒を飲みながら楽しそうに会話をしている。
8時過ぎにホテルより出た3人は1人の男性と途中で別れ、2人で繁華街の中にある8階建ての雑居ビルに入り、7階に行ったのである。
1、2階には飲食店は入っているがエレベーターで行く3階以上は小さなオフィスなどが入っている。
しかし、全体的に得体のしれない要素の強いビルである。
一緒にエレベーターには乗れず、後から7階に行くと出入口に監視カメラのついたオフィスがあり、完全に怪しい雰囲気。
1階近くで張り込んでいると反社会勢力、いわゆる暴力団関係者らしき人がやたらと警戒している。
トラブルを起こしたくない為にかなり離れて張り込むも正直、見づらい。
2人の男性は数時間そこで過ごし、出てきたもののそれぞれタクシーに乗って帰宅してしまった。
翌日、そのビルについて簡単に調べてみるも何のオフィスか実態が全く見えてこない。
1.2階の飲食店からも全く話が聞かれない。
直接、7階オフィスに尋ねたのだがインターフォン越しに冷たい対応。
全く得体が知れない。
その後、5日間調査した結果、最終日にある女性と浮気していた事実は掴み、浮気相手女性も特定したのであるが5日間においてこの怪しげなビルには2回行っている。
浮気相手と会うよりも回数が多いことになる。
調査終了後、いろいろと情報を集め、それこそ暴力団関係者からも情報を収集した結果、ルーレットとバカラをする「裏カジノ」であることが判明する。
完全に違法の賭博場で暴力団の資金源のひとつでもある。
裏カジノであるからか出入りも厳しいチェックもあり、会員でないと入れない為、周辺から聞き込みをしても実態すら聞かれないのも頷ける。
この対象者は浮気ばかりか暴力団との黒い交際までも発覚、裏カジノが摘発でもされれば、それこそいつ逮捕されるかも分からない状況である。
この奥様も浮気どころの問題では無くなってしまう。
早めにどう処置するかをアドバイスして調査は終了したのであるがその後、この夫婦はどうなったかは判らない。
浮気調査や素行調査をしていると繁華街での張り込みではたまにこういったケースに出会う。
特に新宿の歌舞伎町という地域では暴力団の事務所や裏カジノ、秘密売春クラブなども多く、ビル、マンションなどを張り込む際には周辺にも充分な配慮を怠るととんでもないことに遭遇する。
探偵としても身の危険を感じる時でもある。