探偵というのは時として様々な場所に潜入しなければなりません。
尾行、張り込みをする素行調査の対象者が喫茶店やレストランなどの飲食店に入った場合、一緒に入る事はせず、通常、外で出てくるまで何時間でも張り込み、待ち続けます。
しかし、調査目的が飲食店内での待ち合わせをしている相手の特定や会話内容の掌握、録音、更に撮影といった場合、どうしても飲食店に入らなければなりません。
これもひとつの潜入調査なのです。
潜入する飲食店には喫茶店やレストランばかりではありません。
居酒屋、スナック、キャバクラ、クラブ等の飲み屋なども同様です。
むしろこういったお店の方の潜入が多いかもしれません。
しかも最近は個室的に仕切っている店舗も増え、こういった調査が難しくなってきているのが現状です。
また会話が聞き取れる近くの席に座れるかという条件が付きます。
こういった場合、決して無理しても良い結果は得られませんので的確な状況判断が必要となります。
飲食店への潜入調査の場合、調査対象者がお客様とは決まっていません。
そのお店の従業員やホステスさんから情報を聞き込まなければならない潜入調査もあります。
ただスナック、キャバクラ、クラブなどではお酒を飲み、ホステスさん等ともうまく会話をしなければなりません。
女性探偵も同様にホストクラブなどへの潜入調査もあります。
いずれも話し下手でお酒が下戸では務まりません。
ドラマや小説での探偵は男女問わず、酒好きといったイメージが強いかもしれませんが。
お酒については飲めなくても本人の話術や演技力でいくらでもごまかしはできます。
探偵が酔っぱらってしまっては調査も何もありません。
お客として潜入した後、ホステスさんなどから探偵と悟られずに情報を聞き出さなければならない調査では探偵が話し下手ではどうしようもありません。
これは内偵という聞き込み調査全般に言いきれます。
話し下手は探偵本人の努力でしか直せません。
政治、経済、国際からサイエンス、スポーツ、芸能情報を常に頭に入れておき、時には下ネタも交え、楽しく会話できる事、つまり優秀なホステスさん同様に演技力を備え博識になる事が探偵の要素なのです。
しかも任務で行くお店はいずれも初めてのお店ばかりです。
いかに短時間で従業員やホステスに気に入られ、上手く情報を聞き出せるかが探偵の資質なのです。
時として「一見お断り」的な店もありますが身だしなみをきちんとして紳士的に振る舞えば、会員制や高級料亭は無理でも銀座の高級クラブなどにもけっこう入れます。
店に入ってからは探偵の技量です。
まずはそういったお店に飛び込んで接客を受ける経験も探偵には必要な研修のひとつなのですが当然、自腹です。